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伍 真朱に染まる蕾たちの選択 + 5 +

last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-12 12:43:57

 この先自分の身にふりかかるであろう悲劇を回避するように、朱華は思考を巡らせる。未だ、未晩の接吻がつづいている。すでに何か所も痣のような赤い痕が刻みつけられている。朱華を自分のモノだと誇示するかのような、忌々しい印。

「いっそのこと瘴気漬けにしてやろうか?」

 泣くことを拒み続ける朱華に向けて、未晩は悪びれることなく黒い靄を吐き出していく。憎しみ、怒り、苦しみ……涯(はて)のない暗闇が、抵抗をつづける朱華を諦めさせようと、心の奥に潜む闇鬼のもとへ流れていく。雲桜を滅ぼす禁術をつかったことで父に殺されそうになり、逆に自分が殺してしまった後悔、裏緋寒の乙女になることより未晩の花嫁になることを望んだ幼いころの自分、夢の中に現れた雲桜の土地神だった茜桜の曖昧な残留思念、どうして自分ばかりがこうも苦しまなくてはならないのだという理不尽な怒り……思い出とともに、朱華のなかに隠れていた闇鬼が蠢きだす。彼に屈して快楽に身を任せればいいのにと、闇鬼が朱華を唆す。

「この程度じゃ蜜も出さぬか……ならばこれでどうだ」

「ゃ……痛いっ」

 ぐい、と濡れてもいない蜜口めがけて突っ込まれたのは男根にも似た細長い水晶だ。膣壁をこすりたて、蜜を出せと強引に抜き差しさせられ、朱華の身体を無理矢理開こうとする。

 彼に優しく処女を奪ってもらった時とはぜんぜん違う、恐怖と苦痛しか感じない無機質な物体による蹂躙に、朱華は顔を歪ませる。

 ――彼って誰のこと?

 未晩が封じた朱華の記憶を身体を重ねることで解き放った男性の姿が、ぼんやりと脳裡に浮かぶ。

 そうか、失った記憶の先には出逢ったはずの人間がいる!

 確信した朱華は、自分の闇に沈もうとしていた濃紫色の双眸が、いつもの菫色の色合いへ戻っていることに気づかないまま、未晩が口にした言葉を思い起こし、推測していく。

 未晩に裸に剥かれ、体中を襲う口づけと手による執拗で強引な愛撫に堪えながら、朱華は頭を働かせていく。

 二日間の記憶は竜糸の神殿にまつわること。

 きっと自分は神殿の人間に、裏緋寒の乙女として召集を受けたのだ。このとき、未晩は反対したはずだ。

 だ
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